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アスリートの筋力トレーニング②

前回の記事に引き続き、アスリートの筋力トレーニングについて考えてみたいと思います。

Contents

1.筋力トレーニングがパフォーマンス向上に繋がらない要因
2.競技スポーツにおける筋力トレーニングの位置付け
3.アスリートのトレーニング指導において私が大切にしていること

2.競技スポーツにおける筋力トレーニングの位置付け
下記の図は横軸に重要度、縦軸に緊急度を取った4象限のグラフで、競技スポーツにおける技術練習、筋力トレーニングの位置づけを示したものです。縦軸の緊急度というのは、他にいい表現があるかもしれませんが、スポーツの指導において「毎日でもやらなければならない事」と考えてください。私の印象では日本のスポーツ指導者の多くは図1のようなイメージを持って指導をされているのではないかと思います。筋力トレーニング、有酸素性トレーニングといった体力トレーニングは競技パフォーマンスの補完的要素であり、競技パフォーマンスの土台となる技術練習は常に優先すべきであるという考え方です。“技”に重きを置く日本文化を象徴した考え方がスポーツにもあるのかもしれません。

では、私がどのように考えているかというと、瞬発的な力発揮が必要になる競技では図2のように、技術練習と筋力トレーニングは並列で考えるべきだと思います。理由としては、パワー系の種目では身体が変わること、筋の出力が高まることで、それまでできなかった動き、技術ができるようになると考えているからです。
高校生、大学生の年代において、技術の反復練習はもちろん大切ですが、技術とフィジカル要素は繋がっていると考えることで、パフォーマンス向上のきっかけをつかめるかもしれません。

3.アスリートのトレーニング指導において私が大切にしていること
 最後は少し抽象的な話になりますが、コーチングの現場で私が選手に伝えている事、トレーニング指導で大切だと考えている事に触れたいと思います。以下の4つになります。
➀ 筋力トレーニングの目的はバランスのいい身体をつくること
② フィジカルでも世界と勝負する
③ シーズンを通して、フィジカルを強化する
④ 持久力を定量的に評価し、把握する

 ➀筋力トレーニングを継続していると、本来の目的からずれてくることがあります。トレーニングを行う目的が『デカくなること』になってしまうと、パフォーマンス向上は難しくなります。それぞれの弱点を把握させ、バランスのいい身体をつくることを目的に指導を行っています。

②フィジカルでも世界と勝負する
 日本人選手が海外で戦う際に、『身体が小さく、パワーで劣るので、技術で勝負する』というような話を聞くことがありますが、それでは身体能力に優れ、技術のある海外選手にはいつまで経っても勝つことはできなくなります。選手のネガティブな思い込みをなくすためにも、トレーニング指導ではフィジカルでも勝負すると選手に伝えています。

③ シーズンを通して、フィジカルを強化する
 上記の筋力トレーニングの位置づけと重複するところもありますが、フィジカルトレーニングの重要度をシーズンを通して変えない事をチームコンセプトとして、監督、他のコーチとも共有することが年間を通して安定したパフォーマンスを発揮するためにも重要だと考えています。

④持久力を定量的に評価する
 持久力についてはまた別の記事で詳しく書きたいと思いますが、競泳短距離種目、自転車短距離種目では、競技時間は短くても、ある程度の持久的な能力が必要になります。これらの競技では、自転車エルゴメーターを用いて2分間、3分間の定常ペダリング運動で持久力を評価するとともに、平均発揮パワーを高めていくトレーニングを実施することで、競技パフォーマンスの向上だけでなく、日々の練習において質の高い技術練習が可能になると考えています。

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